温度補償について

現在一般に普及している食品放射能汚染測定装置の主流は、NaI(Tl)シンチレーション型ガンマ線エネルギースペクロメータです。Ge検出器と比べて比較的低価格で、高検出効率なのが長所ですが、エネルギー分解能(例えばCs137(662Kev)とCs134(605Kev)の識別能力)が悪く、複数の核種を分離することが比較的難しいのです。これはNaI(Tl)シンチレータの発光量が統計的変動をもっていることによります。

図1はGe検出器とNaI(Tl)スペクトロメータの波形データの比較です。ピークの波形は統計学でよく出てくるガウスの分布関数(正規分布)です。γ線と物質との相互作用の1つである、いわゆる光電効果の光電子エネルギー分布です。これを光電ピークと呼びます。さて一般の食品または土壌などの放射能汚染の単位としてはベクレル/キログラム(Bq/kg)が使われます。

話を簡単にするために図2の単一なエネルギーについて考えてみましょう。横軸はエネルギーチャンネル、縦軸は各エネルギーチャンネルの測定時間に得たカウント数です。ピークと、下のa,bを結ぶ斜線に囲まれた面積が測定された放射線の数です。この数を測定時間(秒単位)で割ることによりカウント/秒(CPS)が算出されます。これに測定装置の機器換算係数を掛けるとベクレル/キログラムがでます。

ここでベクレルの計算には図2のa,bという上限(b)と下限(a)のウィンド幅をとっています。これは測定器の計算ソフトで決定していることです。ところが実際のNaIシンチレータは温度により発光量が変動することです。
 
つまり図2の光電ピークの位置Pが温度により左右に変動することです。NaIシンチレータは約0.2~0.3%/℃の温度特性を持っています。それに電子回路(特に検出器初段の電荷増幅器もある程度の温度変動率をもっているので、当スクリーニングモニターで、トータルとして約0.53%の温度変動率を持っています。もし測定中に温度変化により光電ピークが左右に移動してもソフトによって設定された上下限の閾値(a,b)が変わらなければピークの斜線面積が減少してしまいます。つまり測定結果が真値からずれてしかも減少することになります。

他のメーカ機種ではエネルギー校正を1線源でおこなっている所、また多線源でおこなっている所など両方あります。初期校正は正しいのですが、時間とともにずれることが問題です。例えばエネルギー校正には、定期的かつ必要な時に校正試料として塩化カリウム(KCl)粉末を使用してカリウムが放出する1460Kevのγ線ピークを測定することにより、その都度光電ピークの上下限値(a,b)を決定しています。しかしこの方法では、長時間測定時などのリアルタイム補正ができません。特に測定器を温度環境の良くないところに設置したときは頻繁に校正を行う煩雑さがあります。
 
測定器内部にデジタル・ゲイン(スペクトル)・スタビライザーを装備している機種は試料の測定中でもリアルタイムで、温度変化に即応して光電ピーク位置pを常に一定のチャンネルに保つため、測定ミスを起こすことはありません。
 
デジタル・ゲイン(スペクトル)・スタビライザーとは、各温度に対応したデジタル値をソフト上テーブル(表)として用意し、検出器(NaI)温度を逐次計測して電子回路増幅器のゲイン(利得)の微調整(FINE)を行うハード的な手法です。これにより食品放射能測定装置を毎日ルーチンワークとして使用する担当者は周囲温度の影響を気にする必要がなくなります。

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